[Top of NO LIMIT Tribute]

彼女たちは実在するのか?No Limitの幻の女たち



No Limitのアーティストには圧倒的に男性が多い。いや、まあ、ヒップホップの世界では圧倒的に男性アーティストのほうが多いから、当然ではある。しかし、ブックレットの発売予告を見ている限りは何組もの女性アーティストがデビューを控えているかのように見えるのだが、実際に活躍しているのはミアXと、何人かのバックシンガーたちだけ。彼女たちは本当に実在するのか?はたまた、単にラッパーたちが自分の彼女を載せたりして喜んでるだけなのか?

MERCEDES



ミアXは別格として、NO LIMITの女性アーティストと言えば、筆頭に挙げるべきはこのメルセデスだろう。何しろこのジャケだ。この発売予告が、約2年に渡り、NO LIMITのどのアルバムにも載っていた。特に気にしてなかったとしてもサブリミナル効果で刷り込まれるぐらいに、目にしていた。
彼女が初めて登場したのは、「I'm Bout It」サントラ。「Down And Dirty」という曲のクレジットが、こうなっている。「written and performed by TRU (The Shocker, C-Murder, Mercedes)」。このサントラに載ってる無数の発売予告の中でも他の主要ラッパーたちと同じ大きい扱いをされているし、TRUの一員とされているのは単なる気まぐれにしても、この当時はかなり本気でプッシュして行こうと考えていたことが伺える。

ところが。ぱたっと、メルセデスは登場しなくなる。発売予告だけは相変わらずどのアルバムにも載ってるのだが、本人がどこにも登場しない。こうなると、当然出てくるのはメルセデス死亡説だ。今みたいにネットで何でも調べられる状況でもなく、真偽が確認されぬまま噂が暴走する。

と、2年ほどたった1999年のある夏の日。出た。あの、脳裏に焼き付いた予告編のジャケそのままで。当時、meantimeの新作紹介コーナーで私は興奮のあまり特集ページを作り、1999年7月に恐怖の大王が降臨するというノストラダムスの予言は、コレのことではないかという説を打ち立てた。そのぐらいの衝撃だった。しかし。可愛いじゃん。NO LIMITとして極めて異例の、こんなカラフルで写真満載のブックレット作ってもらっちゃって。NO LIMIT初のアイドルの誕生か?



いや。やはり彼女にはあのジャケのイメージを全うする義務があった。CDのケースをかぱっと開けると、この状態。この構図...狙いすぎ。



しかしメルセデスはこういうことをやりたがるエロ女ではなかった。たぶん。彼女の経歴。
1978年ルイジアナ州出身。本名Raequel Miller。同じミラー姓だが、マスターPと血縁ではない模様。デトロイトに移り、パフォーミング・アーツ・ハイスクールに通う。この頃聖歌隊にも入っていたようだ。大学生になると再び南部へ。ニューオーリンズのXavier大学で音楽を専攻する。この頃、地元のタレントコンテストに出たことで、マスターPの目に止まる。これが、彼女の人生を変えた。
ということで97年の「I'm Bout It」に登場した時は19歳。おそらく、何もわかってない彼女を騙してああいうジャケを用意し、アルバムに参加させたのだろう。その後No Limitの実態がわかるにつけ彼女は活動を拒否したため、その説得に2年かかった。99年、正当派アイドルで売り出すということでようやくソロ作品をリリース。しかしやっぱりマジメな彼女のこと、学業に専念するために、これっきりで音楽業界から足を洗った。この辺は勝手な推測だが、まあたぶんこんなところだろう。とりあえず音楽業界から足を洗い、ロースクールに入学した、ってのは本当らしい。


そんな彼女の、「せっかくのチャンスを活かさない」態度をもったいないと感じる者は少なくなかった。そして、実際に乗り出してきたのが、この女だ↓

A-LEXXUS



A-レクサス。メルセデス、ポーシャと並ぶ車の名前の女シリーズだが、実は彼女はそれだけの存在ではなかった。なんとあのメルセデスの妹らしいのだ。
姉のメルセデス同様にデトロイト育ちの彼女だが、姉がNo Limitと契約した頃からNo Limit周辺に接近し、姉のアルバムに参加したのをきっかけに自身もNo Limitとの契約を手にした。例によって予告編だけで、実物が発売される気配はないが、どうも現New No Limitにも一応残っているようなので、今後まだ作品が出てくる可能性は残されているようだ。


MS.PEACHES



ミス・ピーチズ。No Limitファンよりはむしろヒットチャート・ファンのほうがぴんとくる名前かもしれない。リル・ロミオの大ヒットシングル「My Baby」にシンガーとしてフィーチャーされていた人だ。
実は他にもマスターP、マック、Cマーダーの、割と最近の作品にも参加しているので、今後きちんとソロデビューする可能性は比較的高い。
何より気になるはその歌声。「My Baby」の歌の部分って、てっきり大人の男が無理にああいう声を出して歌ってるのかとしばらく思ってたが、考えてみりゃミス・ピーチズってクレジットされてるんだから女だって気付けよな。しかもミスだし、リル・ロミオと共演だから子供だって先入観を持ちがちだが、この歌いっぷりは結構ゴスペル系の、歌いまくっちゃう人かも。他の、例えばマックの「World War III」収録の「Genocide」なんかでもマーサ・ウォッシュとかの声量バリバリ・ディーヴァ系を想像させる。
ジャケ写も顔写真を縦に圧縮して本当の顔をバレにくくしてるのが怪しい。
ちなみにPeaches "Ms.Peaches" Smithという作家がいるようだが、おそらくこのMs.Peachesとは同一人物ではない。

ERICA FOX

エリカ・フォックス。いかにもシンガーっぽい佇まい。ルックスも良さそうな感じ。しかしこれ以上のことが何もわからない。誰かのアルバムにバックコーラスで参加してるとかいうのも、今のところ発見できていない。これこそ誰かの彼女を載せちゃっただけか?




[Top of NO LIMIT Tribute]

NO LIMIT Soldier for Life.
meantime presents a tribute to NO LIMIT